「データはクラウドに上がってます」
「うちのシステム、クラウドで動かしてるんで」
毎日のように聞くけど、クラウドって結局なんなの? と聞かれて答えられる人、意外と少ない。
「雲(cloud)」って言うけど、別に空に浮かんでるわけじゃないですよね。じゃあどこにあるの?という当然の疑問から、いきます。
クラウドは、「インターネットの先にある、誰かのコンピュータを借りて使う仕組み」のこと。
自分のパソコンや会社のサーバーじゃなく、遠くにあるバカでかいコンピュータを、ネット経由で借りる。
「クラウド」と言われてピンと来ない時は、「ネット越しに借りるコンピュータ」と置き換えればたいてい合います。
「サーバー」ってなに?からいく
クラウドの話の前に、サーバーの話を片付けます。
サーバーって、ざっくり言うと 「他のコンピュータからの依頼を受けて、何かを返すコンピュータ」 のこと。
たとえばあなたが Google を開いたとき、
- あなたのスマホ → サーバー:「『ラーメン』で検索したい」
- サーバー → あなたのスマホ:「はい、ラーメン店一覧です」
このやり取りで、依頼に答えているコンピュータが サーバー。Google の場合、世界中に何万台もあります。
ここだけ覚える
サーバー = 「リクエストに答えてくれるコンピュータ」
あなたのスマホやPC = 「リクエストする側(クライアント)」
昔は「サーバーを自分で持つ」のが普通だった
クラウドが流行る前(だいたい2010年より前)、会社がシステムを動かすには、自分でサーバーを買って、自分の会社に置くのが普通でした。
これを「オンプレミス」(on-premises、略してオンプレ)と言います。直訳は「自社の敷地で」。
オンプレ時代の流れ:
- サーバー本体を100万円とかで買う
- 会社の中の「サーバールーム」に設置する(クーラー必須)
- 専門の技術者を雇って、24時間体制で管理する
- 壊れたら自分で直す
- 容量が足りなくなったら、また100万円かけて買う
これ、しんどいですよね。初期費用ドカンとかかるし、専門家も必要だし、壊れたら自分で対応。
特にスタートアップとか個人事業主だと、まずサーバー買うところで挫折する。
クラウドは「サーバー、レンタルにしようぜ」という発想
ここで登場したのがクラウドです。
「サーバー、自分で買わなくていいよ。うちが何万台も用意してるから、必要な分だけ借りていいよ」と、Amazon やGoogle、Microsoft が言い出したのが2006年頃。
これがクラウドの始まり。
オンプレ(左)とクラウド(右)の違い
オンプレとクラウド、何が違う?
具体的に比較すると、こうなります。
| 項目 | オンプレ(自社) | クラウド(借りる) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 何百万円〜 | ほぼ0円。すぐ始められる |
| 月額 | 0円(電気代は別) | 使った分だけ(数千〜数百万まで様々) |
| 拡張 | サーバー追加購入。数週間 | 設定変更で数分 |
| 縮小 | 売っぱらうしかない | 設定変更で即0円に戻せる |
| 専門家 | 自社で雇う | だいぶ簡略化できる |
| 壊れたら | 自分で直す | クラウド会社が勝手に直してる |
オンプレが「家を建てる」だとしたら、**クラウドは「ホテルに泊まる」**みたいなイメージ。
家を建てるなら、最初に何千万円かかるし、メンテも自分。でも自由度は高い。 ホテルは、使った日数だけお金払えばいい。メンテは向こうがやってくれる。
クラウドの代表的な会社
世界の3強:
AWS(Amazon Web Services)
- 運営:Amazon
- 世界シェア約30%(業界1位)
- Netflix、Airbnb、Twitter(X)など
Azure / Google Cloud
- Azure:Microsoft の。企業向けに強い
- Google Cloud:Googleの。AI・データ分析に強い
- 合わせて世界シェア約40%
これ以外にも、さくらインターネット、ConoHa、エックスサーバー など、日本の会社もクラウドサービスを提供しています。シンプリも、エックスサーバーが提供する環境(広義のクラウドの一種)で動いています。
クラウドにもいくつか種類がある
「クラウド」と一口に言っても、借りる範囲によって呼び名が違います。この3つは覚えておくと話についていきやすい。
| 略称 | フルネーム | 何を借りる? | 例 |
|---|---|---|---|
| IaaS | Infrastructure as a Service | 土地(サーバーそのもの) | AWS EC2、GCP Compute Engine |
| PaaS | Platform as a Service | 建物の骨組み(OS・開発環境込み) | Heroku、Google App Engine |
| SaaS | Software as a Service | 完成した家(アプリそのもの) | Gmail、Slack、Dropbox、Notion |
ピンと来にくいかもしれませんが、たとえばあなたが普段使ってる Gmail も、Googleが提供している SaaSというクラウドサービスです。クラウドって、想像以上に身近にあります。
「クラウドに保存」って具体的にどこ?
あなたがスマホでGoogleフォトに写真を上げると、そのデータは Googleが世界中に持っているデータセンター(巨大なサーバールーム)のどこかに保存されます。実在する建物の中のディスクに、ちゃんと物理的に存在する。
「雲(cloud)」と呼ばれますが、データは雲じゃなくて、ちゃんと地上の建物の中にあります。
クラウドの注意点(正直な話)
クラウドは万能じゃないので、正直なところを書いておきます。
- データはよそ様に預けてる状態。情報漏洩リスクは0じゃない(実際、設定ミスで漏れた事故も過去にある)
- 使いすぎると高い。スタートアップが「気付いたら月額200万円超えてた」みたいな事故もよくある
- クラウド会社に依存する。AWSが落ちれば、世界中のサービスが一斉に止まる(実際過去に何度かあった)
- 規制業界(金融、医療、政府系)は、まだオンプレも残ってる。データを国外に置けない縛りがあるため
つまりクラウドは「速くて安くて柔軟」だけど、全部クラウドにすればOKという話でもない。シンプリでは、用途に応じて使い分けるのが現実解、と整理しています。
まとめ
- クラウド = ネット越しに借りるコンピュータ
- 昔はオンプレ(自社サーバー)が主流だったが、2010年代から急速にクラウドにシフト
- 「家を建てる」がオンプレ、「ホテルに泊まる」がクラウド
- AWS / Azure / Google Cloud が世界3強
- IaaS / PaaS / SaaS の3つの分類は覚えておくと話に出てくる
- 万能ではない。情報漏洩、コスト管理、依存リスクは要注意
これで「クラウドに上げといて」と言われても、ピンとくるはず。
クラウドや IT 系の用語は、KPI みたいなビジネス用語より「実物が見えない」分、輪をかけて分かりにくいですよね。でも一度仕組みが分かると、急に世界がクリアに見えるはず。
技術的により正確な定義を知りたい場合は、総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」が、お役所系で信頼できます。
ここでは、コンテナ、サーバーレス、マルチクラウドなど、もう一段上の話は省略しました。気になる用語が出てきたら、また別記事で扱います。