「通常国会が召集されました」「臨時国会で審議されます」。
ニュースで毎週のように出てくるのに、
「国会って結局そこで何をしてるの?」「通常とか臨時とか、種類があるのはなぜ?」
を説明できる人は多くありません。
国会とは、「選挙で選ばれた議員が集まって、法律と予算を決める場所」のこと。
日本国憲法41条で 「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関」と定められています。法律を作れるのは国会だけ、というのが最大のポイント。
種類は3つ(常会・臨時会・特別会)で、開かれるきっかけがそれぞれ違います。
国会は何をする場所?
やっていることは、大きく5つに絞れます。
| 仕事 | 中身 |
|---|---|
| 法律を作る | 新しい法律を作り、古い法律を直す。これができるのは国会だけ |
| 予算を決める | 内閣が作った予算案を審議して認める。国のお金の使い道を決める |
| 総理大臣を指名する | 国会議員の中から内閣総理大臣を選ぶ |
| 条約を承認する | 内閣が結んだ外国との約束を認める |
| 国政調査をする | 行政が正しく動いているか調べる。証人喚問もここに含まれる |
覚え方としては、「決める」と「見張る」の2つ。法律・予算・人事を決めるのが前半、行政を見張るのが後半です。
予算を認める
総理大臣を指名する
ここが国会にしかできない仕事
大臣に質問する
内閣不信任決議を出す
行政の暴走を止める
国会は法律をつくる場所であると同時に、内閣を監視する場所でもあります。ニュースで見る「追及」の場面は後者。三権分立でいう立法権がここに当たります
国会がもつ2つの役割
国会は2つの部屋でできている
国会は1つの建物の中に、衆議院と参議院という2つの議院があります。同じ議案を両方で審議する、というのが日本のやり方です(二院制)。
| 衆議院 | 参議院 | |
|---|---|---|
| 議員の数 | 465人 | 248人 |
| 任期 | 4年 | 6年(3年ごとに半数を入れ替え) |
| 解散 | ある | ない |
| 被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
| 性格 | 民意を素早く反映する | じっくり考える「良識の府」 |
同じ内容を2回審議するのは非効率に見えますが、それがねらいです。片方が勢いで決めたことを、もう片方が止められるようにしてある。
ただし何もかも対等だと物事が決まらないので、いくつかの場面では衆議院の判断が優先されます(衆議院の優越)。詳しくは衆議院と参議院の違いにまとめました。
「国会議事堂のどっちが衆議院?」
正面から見て左が衆議院、右が参議院です。建物は左右対称で、中央に中央広間があります。見学は両院とも受け付けていて、本会議が開かれていない日なら議場を上から見られます。予約なしで入れる日もあります。
3種類の国会:常会・臨時会・特別会
ニュースで「通常国会」「臨時国会」と呼ばれているものは、正式には常会・臨時会・特別会といいます。開かれるきっかけで分かれています。
見分け方はかんたんで、1月なら常会、選挙の直後なら特別会、それ以外は臨時会。特別会だけは「総理大臣を決める」という目的がはっきり決まっています
3種類の国会は「開かれるきっかけ」で分かれる
もうひとつ、参議院の緊急集会というものもあります。衆議院が解散されて議員がいない期間に、どうしても国会の判断が要る事態が起きたときだけ開かれる例外的な集まりです。実際に開かれたのは戦後2回しかありません。
法律ができるまで
「国会で法律を作る」と言っても、いきなり全員で決めるわけではありません。委員会で細かく詰めてから、本会議で決めるという二段構えになっています。
議員が出す(議員立法)
議論の中身はほぼここ
可決したらもう一方の議院へ
これを衆議院と参議院の両方で繰り返して、初めて法律になります。ニュースで映る本会議の採決は最後の一場面で、実際の議論は委員会でおこなわれています
法案が法律になるまでの流れ
法案には2つの出どころがあり、通りやすさがまるで違います。
| 閣法(内閣提出法案) | 議員立法 | |
|---|---|---|
| 出すのは | 内閣(=省庁が原案を作る) | 国会議員 |
| 数 | 1年に数十本 | 閣法より多く出るが成立は少ない |
| 成立率 | 高い(与党が多数を持っているため) | 低い。与野党の合意が要る |
つまり**「誰が出したか」で結果がだいたい決まる**というのが実際のところ。与党が過半数を持っているかどうかが、そのまま法案の通りやすさになります。
「会期」という考え方がクセモノ
国会は年中開いているわけではありません。開いている期間(会期)が決まっていて、閉じているあいだは審議できません。
そして、ここが独特なのですが——
会期が終わると、審議中の法案は原則「廃案」
会期不継続の原則といって、その会期のうちに決まらなかった法案は、次の国会に持ち越されず消えてしまいます(国会法68条)。委員会が「継続審査」を議決すれば持ち越せますが、そうでなければまた一から出し直し。野党が採決を引き延ばそうとするのは、この仕組みがあるからです。
「時間切れをねらう」という戦術が成立するのは、この会期不継続の原則があるからです。逆に与党は会期を延長してでも通そうとする。国会のニュースで日程の話ばかり出てくる理由がここにあります。
傍聴・見学はだれでもできる
意外と知られていませんが、国会の審議は誰でも見られます。
- ネットで見る:衆議院・参議院ともに本会議と委員会の中継をネット配信していて、過去の映像も検索して見られます。発言者名や日付で探せる
- 議事録を読む:国会会議録検索システムで、戦後すべての発言が全文検索できます。「誰がいつ何を言ったか」が1秒で出てくる
- 実際に傍聴する:本会議の傍聴は、当日に受付で申し込めば入れる場合があります。委員会の傍聴は議員の紹介が要ります
シンプリでは、政治のニュースに違和感を持ったら2番目の議事録検索を見にいくのがいちばん早いと整理しています。切り取られた報道ではなく、前後の文脈ごと読めるからです。
よくある誤解
- 「国会と内閣は同じもの」→ ✕。国会は法律を作るところ、内閣は法律にもとづいて実行するところ。総理大臣は国会が指名しますが、内閣そのものは国会の一部ではありません
- 「国会議事堂=国会」→ △。議事堂は建物の名前で、国会は制度の名前です
- 「多数決だから議論は無意味」→ △。結果が読めていても、議事録に残すこと自体に意味があります。後から「あのとき何を約束したか」を検証できる
- 「通常国会は1年中やっている」→ ✕。会期は150日。延長しても年の半分強で閉じます
- 「法律は国会だけが作る」→ ○。ここは正しい。ただし細かいルール(政令・省令)は内閣や省庁が作れます。法律の中身を具体化する部分は行政側の仕事です
実生活とのつながり
遠い話に見えますが、身のまわりの制度はすべて国会を通っています。
| 身近な変化 | 国会で何があったか |
|---|---|
| 消費税率が変わる | 税法の改正案が可決された |
| 給付金が支給される | 補正予算が臨時会で成立した |
| 成人年齢が18歳になる | 民法の改正案が可決された |
| 新しい制度が始まる | 法律が成立し、施行日が来た |
「いつのまにか制度が変わっていた」と感じるものは、その半年〜1年前に国会で審議されています。所得税と住民税の税率も、国民年金の保険料の決め方も、大元は国会が決めた法律です。
まとめ
- 国会 = 法律と予算を決め、行政を見張る場所。憲法41条で「国の唯一の立法機関」と定められている
- 仕事は5つ:法律・予算・総理大臣の指名・条約の承認・国政調査
- 衆議院465人と参議院248人の二院制。同じ議案を2回審議する
- 種類は3つ。1月なら常会、選挙直後なら特別会、それ以外は臨時会
- 法案は委員会で詰めて本会議で決める。実際の議論は委員会でおこなわれている
- 会期が終わると審議中の法案は原則廃案(会期不継続の原則)。日程闘争が起きる理由はここ
- 審議はネット中継と議事録で誰でも確認できる
衆議院と参議院の違い・与党と野党・衆議院解散・内閣不信任案・三権分立とあわせて読むと、政治ニュースがひととおり読めるようになります。
条文は 日本国憲法(e-Gov法令検索)、審議の状況は 衆議院 と 参議院 の公式サイトが一次情報です。議員の定数は 公職選挙法(e-Gov法令検索) の4条で確かめられます(2026年10月14日確認)。