OKRとは?KPIとの違い

GoogleやメルカリでおなじみのOKR。KPIと何が違うの?どう立てるの?「ムーンショット」って?目標管理の手法OKRを、KPIとの違いと作り方の例つきで整理します。

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この記事の目次 11
  1. OKRの中身を分解する
  2. KPIとの違い
  3. KGI・KPI・OKR、3つの関係を1枚で
  4. 同じ会社で両方を使う例
  5. ムーンショットとルーフショット
  6. OKRの立て方(4ステップ)
  7. 週1の「チェックイン」が実務の中心
  8. よくある失敗パターン
  9. OKRが向いている会社・向かない会社
  10. よくある誤解
  11. まとめ

「うちもOKRを導入する」と言われて、KPIと何が違うのかピンと来ない。

GoogleやIntel、日本でもメルカリなどが使う目標管理の手法、OKR。流行り言葉で終わらせず、中身を整理します。

OKRとは、Objectives and Key Results の略で、「目標(Objective)」と「その達成度を測る成果指標(Key Results)」をセットで決める目標管理の手法のこと。
1つのワクワクする目標に対して、3つ前後の数値で測れる成果指標をぶら下げる。これを会社・チーム・個人で縦につなげて、「全員が同じ方向を向く」のが狙い。
KPIが「管理のための指標」なら、OKRは 「みんなを引っぱる目標」という性格の違いがあります。

OKRの中身を分解する

名前の通り、2つの部品でできています。

O:Objective(目標) 「日本一使いやすい家計簿アプリになる」など、数字ではなく言葉で書くワクワクする方向
KR:Key Results(主要な結果) 「継続率を40%→60%」「レビュー平均4.5」など、達成したか誰が見ても分かる数字を2〜5個

Oだけだと掛け声で終わり、KRだけだと意味の分からない数字管理になります。方向(O)と物差し(KR)をセットで置くのがOKR。挑戦的な目標として立てたOKRなら、達成率は6〜7割で良しとするのが一般的です

OKRは「言葉の目標」と「数字の物差し」の2階建て

部品 意味 性格
O:Objective(目標) 達成したい状態。ワクワクする・覚えやすい言葉 定性的(数字じゃなくてOK)
KR:Key Results(主要な成果) 目標に近づけたかを測る指標。1つのOに3つ前後 定量的(必ず数字で測る)

具体例で見るとつかめます。

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OKRの例(あるカフェチェーン)

O(目標):「地域でいちばん愛されるカフェになる」
KR1:リピート率を40%→60%に上げる
KR2:Googleの口コミ評価を平均4.5以上にする
KR3:月間来店者数を1万人にする
目標はワクワクする言葉、成果は全部数字。これがOKRの基本形です。

KPIとの違い

ここが一番知りたいところ。両方「数字で測る」ので混同されますが、目的が違います。

KPI

管理のものさし

  • 目標達成までの進み具合を「監視」する
  • 100%達成が前提
  • 日々の業務がうまく回っているかを見る
OKR

挑戦のエンジン

  • 高い目標へ全員を「引っぱる」
  • 60〜70%達成で成功とみなす
  • 会社の方向性と個人の仕事をつなぐ

決定的に違うのが「達成率の考え方」。KPIは100%達成して当たり前ですが、挑戦的に立てたOKRは60〜70%で成功とされます。

ただし、OKRにも2種類あります。Googleなどでは、わざと届かない高さに置く**挑戦型(ムーンショット)**と、**必ずやり切ると約束する型(ルーフショット/コミット型)**を分けて使います。60〜70%で良しとするのは挑戦型のほう。約束する型は、KPIと同じく100%達成をめざします。

なぜか。OKRはわざと「今のままでは届かない高い目標(ストレッチゴール)」を立てるから。100%簡単に届く目標は、低すぎる=挑戦していない、と考えるわけです。

項目ごとに並べると、性格の違いがはっきりします。

比べる点 KPI OKR
何のための道具か 業務が計画どおり回っているかの監視 高い目標へ全員を前進させる
達成の基準 **100%**が前提。未達は問題として扱う 挑戦型は**60〜70%**で成功(100%連発は目標が低いサイン)。約束する型は100%をめざす
目標の高さ 達成できる範囲で設定する あえて届かない高さに置く(ストレッチ)
見直しの周期 月次・四半期。年間で固定することも多い 四半期ごとに立て直すのが基本
公開範囲 部署内・管理職まで、ということが多い 全社に公開するのが原則
数の目安 部署ごとに数個〜十数個 1階層あたり O は1〜3個、KR は各3個前後
人事評価との関係 評価に使われることが多い 直結させないのが鉄則
向いている場面 定常業務の品質・効率を保つ 事業の方向を変える・伸ばす

「どちらが優れているか」ではなく、役割が違うというのが実態です。多くの会社は両方を併用しています。

KGI・KPI・OKR、3つの関係を1枚で

似た略語が並ぶので、ここで整理しておきます。

KGI(最終ゴール) 「年商10億円」など、たどり着きたい終点そのもの
KPI(途中の計測点) 「新規契約 月50件」など、KGIに近づいているかを測る中間指標
OKR(目標の立て方の型) 言葉のOと数字のKRをセットにして、四半期ごとに挑戦を仕込む方法

KGIとKPIは「何を測るか」の話、OKRは「目標をどう立てて共有するか」の話。並列に比べるものではなく、レイヤーが違うと考えると混乱しません

KGI・KPI・OKRの位置関係

だから「OKRのKRにKPIを置く」という使い方が成立します。O は言葉で方向を示し、その達成度を測る KR に、すでに追っている KPI を持ってくる。別物を2つ管理するのではなく、入れ子にするのが現実的なやり方です。

同じ会社で両方を使う例

抽象的だと分かりにくいので、ひとつの会社の例で並べます。

日々ずっと見る KPI 解約率 3%以下
問い合わせ一次返信 24時間以内
下がったら異常
+
この四半期の挑戦 OKR O:法人のお客さまに選ばれる製品にする
KR1:法人契約 20→50社
KR2:導入後30日の利用率 70%

KPIは守りの指標で、悪化したら手を打つもの。OKRは攻めの目標で、達成できなくても学びが残ればよいもの。両方あって初めて、守りながら攻められる状態になります

KPIとOKRは併用できる。守りと攻めで役割が分かれる

「OKRを入れるからKPIをやめる」という導入をすると、日常の異常に気づけなくなります。ここは実際によくある失敗です。

ムーンショットとルーフショット

OKRでよく出る2つの言葉。

  • ムーンショット:月を目指すような、達成できるか分からないほど高い目標。60%でも大成功
  • ルーフショット:屋根に届く程度の、頑張れば届く現実的な目標。手堅く積み上げたいとき

「月を狙え。たとえ外しても、星のどこかには届く」という発想。低い目標を確実にこなすより、高い目標に挑んで7割届くほうが、結果的に遠くまで行ける、という考え方です。

OKRの立て方(4ステップ)

  1. 会社全体のOKRを決める(一番上の方向性)
  2. それに沿って各チームのOKRを決める(会社のKRがチームのOになる)
  3. 個人のOKRに落とす(チームを支える自分の役割)
  4. 週1で進捗確認、四半期ごとに振り返り

ポイントは「縦につながっていること」。社長の目標 → 部署の目標 → 自分の目標が一本の線でつながるので、「自分の仕事が会社のどこに効いているか」が見えるようになります。

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OKRを人事評価と直結させない

これが導入の最大の落とし穴。OKRの達成率を給料やボーナスに直結させると、みんな「確実に達成できる低い目標」しか立てなくなり、挑戦するというOKR本来の意味が死にます。シンプリでは「OKRは挑戦のための地図、評価は別のものさしで」と整理しています。

週1の「チェックイン」が実務の中心

OKRは立てて終わりではありません。運用の8割は週1回のミーティングにあります。

  1. 各KRの数字を更新する。今どこまで来たかを、感覚ではなく数字で置く
  2. 自信度を0〜10で申告する。「このKR、期末に届く自信は何点?」を毎週聞く。点数が下がった週に手を打つのが肝
  3. 今週やることを1〜3個決める。KRを動かす行動だけに絞る
  4. 詰まっている点を出す。他部署の協力が要るならその場で頼む

このうち2番目の自信度が、KPI管理には無い発想です。数字はまだ動いていなくても、「届く気がしなくなった」という感覚は先に落ちます。遅行指標である数字より早く危険を察知するための仕組みです。

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四半期という長さの意味

OKRは3か月区切りが基本です。1年だと途中で状況が変わって形骸化し、1か月だと挑戦的な目標を立てる余地がない。「本気で走れば何かが変わり、外しても致命傷にならない」長さとして3か月が選ばれています。

よくある失敗パターン

導入した会社が転ぶ場所は、だいたい決まっています。

失敗 何が起きるか 対処
評価と直結させる 全員が達成できる低い目標を出す。挑戦が消える 評価は別のものさしで。OKRは地図として使う
KRが行動になっている 「週1で会議をする」など、やれば達成できる項目が並ぶ KRは結果の数字。行動はタスクとして別に置く
数が多すぎる Oが10個並び、どれも中途半端に終わる Oは1〜3個まで。捨てる判断がOKRの本体
非公開にする 他部署が何をしているか分からず、連携が生まれない 全社公開が原則。見えないOKRは効果が半減する
立てっぱなし 期末に見返して「そういえばこんなの立てたね」で終わる 週1のチェックインを必ず回す

いちばん多いのは2番目です。「新機能を3つリリースする」はKRのように見えますが、リリースしたかどうかは自分たちの都合で決まるので、成果ではなく行動です。「新機能によって継続率が5ポイント上がる」まで書いて初めてKRになります。

OKRが向いている会社・向かない会社

正直に書きます。万能ではありません。

向いている 向いていない
成長中で方向性を合わせたい ルーティン業務が中心
挑戦的な目標で伸ばしたい 短期の数字管理だけしたい
部署間の連携を強めたい トップダウンで細かく管理したい

ルーティンの精度を上げたいだけなら、KPI管理やPDCAで十分なことも多い。「流行っているから」で入れると形だけになります。

よくある誤解

  • 「OKRはKPIの新しい呼び方」→ ✕。KPIは測る指標、OKRは目標の立て方。レイヤーが違うので、置き換えではなく併用します
  • 「OKRは達成しないといけない」→ △。挑戦型なら、100%が続くのは目標が低いサイン。60〜70%が設計どおりです。ただし「必ずやり切る」と約束する型のOKRは100%をめざします。どちらの型として立てたのかを最初に決めておくのが大事
  • 「Objectiveにも数字を入れるべき」→ ✕。数字はKRの担当。Oは覚えられて口に出せる言葉であることのほうが大事
  • 「小さい会社には向かない」→ △。人数が少ないほど全員が同じOを見ている状態を作りやすいので、むしろ相性はいい。合わないのは規模ではなくルーティン中心の業務のほう
  • 「導入したら成果が上がる」→ ✕。OKRは目標を見える化する枠でしかありません。中身を決めるのは人で、枠だけ入れても何も変わりません

まとめ

  • OKR = 目標(Objective)と成果指標(Key Results)をセットで決める目標管理の手法
  • 1つのワクワクする目標に、数字で測れる成果指標を3つ前後ぶら下げる
  • KPIが「管理のものさし」なら、OKRは「挑戦のエンジン」
  • 挑戦型(ムーンショット)なら達成率 60〜70%で成功。約束する型(ルーフショット)は100%をめざす
  • 会社→チーム→個人で縦につなげ、全員が同じ方向を向くのが狙い
  • 人事評価と直結させると挑戦しなくなるので注意

KPI・PDCA・マーケティングとあわせて押さえると、目標管理まわりの会議でつまずかなくなります。

目標設計の全体像は、最終ゴールを示すKGIとあわせて読むと整理できます(KGI=到達点、KPI=途中の計測指標、OKR=挑戦的な目標設定の型)。

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