年末調整とは?確定申告との違い

毎年11月ごろ会社から書類が配られる年末調整。なんとなく書いて出してるけど、これって何の手続き?なぜお金が戻ってくるの?確定申告との違いまで整理します。

年末調整とは?確定申告との違いのイメージ画像
Photo by Leeloo The First on Pexels
この記事の目次 9
  1. なぜ「調整」が必要なの?
  2. お金が戻る・追加で取られるケース
  3. 確定申告との違い
  4. 年末調整では「できない」控除
  5. 提出する主な書類
  6. よくある誤解
  7. 出し忘れた・間違えたときのリカバリー
  8. 転職した年は特に注意
  9. まとめ

毎年11月ごろになると、会社から「年末調整の書類」が配られます。

保険料の控除証明書を貼って、名前を書いて提出。なんとなくやっているけど「そもそも何の手続き?」「なんで年明けにお金が戻ってくるの?」がよく分からない人は多い。整理します。

年末調整とは、会社が毎月の給料から「とりあえず」で天引きしてきた所得税を、年末に正しい金額に計算し直して、払いすぎを返す(または足りない分を集める)手続きのこと。
源泉徴収で多めに引かれていた税金が、たいていは 「還付金」として戻ってくる。
会社員にとっては、自分で確定申告をしなくて済む「会社が代わりにやってくれる税金の精算」です。

なぜ「調整」が必要なの?

カギは、毎月の天引きが「正確な金額ではない」ことにあります。

毎月天引きされた合計概算の額
−
本当に払うべき税額確定した額
=
プラスなら12月に還付

毎月の天引きは「だいたいこのくらい」の見積もり。生命保険料控除や扶養の変化はそこに入っていないので、年末に精算するとたいていは払いすぎ側になり、お金が戻ってきます

年末調整は、概算で払った税金を精算する手続き

会社は毎月の給料から所得税を源泉徴収(天引き)していますが、これは「だいたいこのくらいだろう」という仮の金額。1年が終わってみないと、本当の税額は決まりません。

i

なぜ毎月の天引きが多めになるのか

毎月の天引きは、扶養の人数は反映していますが、「生命保険料控除」「地震保険料控除」などは反映していません。これらは年末にまとめて申告するもの。だから天引きの段階では控除が引かれておらず、結果として多めに取られている。それを年末に精算して返すのが年末調整、というわけです。

お金が戻る・追加で取られるケース

年末調整の結果は、人によって変わります。

還付(戻る)

多くの人がこちら

  • 生命保険・地震保険に入っている
  • 扶養家族が増えた
  • iDeCoの掛金を払っている
  • 住宅ローン控除(2年目以降)
徴収(取られる)

少数

  • 扶養家族が減った
  • 年の途中で給料が大きく上がった
  • ボーナスが想定より多かった

「年末調整でお金が戻ってきた」とよく聞くのは、控除を反映すると税金を払いすぎていた人が多いから。逆に扶養が減った人などは、追加で取られることもあります。

確定申告との違い

ここが一番ややこしいところ。表で整理します。

項目 年末調整 確定申告
やる人 会社(勤め先) 自分
対象 会社員・パートなど 自営業・フリーランス、控除を追加したい会社員
時期 11〜12月 翌年2月16日〜3月15日
手間 書類を出すだけ 自分で申告書を作る

ざっくり言うと、会社員の税金の精算を会社が代わりにやるのが年末調整、自分でやるのが確定申告。多くの会社員は年末調整だけで完結します。

年末調整では「できない」控除

ただし、年末調整で精算できない控除もあります。これらは会社員でも自分で確定申告が必要です。

  1. 医療費控除:1年で医療費が10万円を超えたとき
  2. ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)
  3. 住宅ローン控除の1年目(2年目以降は年末調整でOK)
  4. 寄付金控除
!

年末調整したのに確定申告、もアリ

「年末調整は会社がやってくれたから自分は何もしなくていい」と思いがちですが、医療費が多くかかった年やふるさと納税をした年は、追加で確定申告すればさらに税金が戻ります。年末調整と確定申告は、どちらか一方ではなく両方やる年もある、と覚えておくと損しません。

提出する主な書類

会社から配られる、名前の長い書類たち。中身はこうです。

書類 ざっくり何のため
扶養控除等申告書 扶養している家族を申告する
保険料控除申告書 生命保険・地震保険などを申告する
基礎控除申告書など 本人の基礎控除や配偶者控除を申告する

保険会社から秋ごろ届く「控除証明書(はがき)」を、なくさず添付するのがポイント。これが還付額に直結します。

よくある誤解

  • 「年末調整=全員必ずお金が戻る」→ ✕。多くは戻るが、扶養が減った人などは追加で取られることもある
  • 「年末調整すれば確定申告は絶対に不要」→ ✕。医療費控除・ふるさと納税などは別途確定申告が必要
  • 「掛け持ちのバイトも全部まとめて年末調整される」→ ✕。年末調整できるのは1つの勤め先だけ。2か所以上で働くなら確定申告が必要なことが多い

出し忘れた・間違えたときのリカバリー

書類の提出期限は会社ごとに11月〜12月上旬。過ぎてしまっても、取り返す方法があります。

  1. 会社の年末調整がまだ終わっていない:総務に相談すれば間に合うことが多い。まず聞くのが最短
  2. 会社の処理は終わったが、1月末まで:会社が再年末調整をしてくれる場合があります
  3. それも過ぎた:自分で確定申告すれば取り戻せます。翌年1月1日から5年間有効

つまり、出し忘れても確定申告で全部取り返せます。「間に合わなかったから今年は諦める」必要はありません。

転職した年は特に注意

その年の途中で転職した人は、前職の源泉徴収票を新しい会社に出す必要があります。

  • 出せば:新しい会社が前職分と合算して年末調整してくれる
  • 出さなければ:新しい会社の分しか処理できないので、自分で確定申告することになる

前職の源泉徴収票は、退職後1か月以内に交付される決まりです。届いていなければ請求できます。年の途中で辞めてそのまま年を越す人は、原則として年末調整の対象外なので、確定申告が必要になります(12月の給与をもらってから辞めた人などは、退職時に年末調整されます)。

まとめ

  • 年末調整 = 会社が天引きした所得税を、年末に正しい額に精算する手続き
  • 毎月の源泉徴収は仮の金額。控除を反映して払いすぎを返す
  • 多くの人は「還付金」が戻るが、追加徴収のケースもある
  • 確定申告との違いは「会社がやるか、自分でやるか」
  • 医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除1年目は、別途確定申告が必要
  • 保険の控除証明書は還付額に直結するので、なくさず提出を

源泉徴収・確定申告・控除とあわせて読むと、給料から引かれる税金の全体像がつかめます。

正確な手続きは 国税庁 年末調整 が一次情報として確実です。2026年分は基礎控除などの引き上げが12月の年末調整でまとめて反映されるので、例年より戻りが大きくなりやすい年です(国税庁 令和8年分の基礎控除の見直し等)(2026年10月14日確認)。

この記事をシェア