「医療費控除を受けた」「配偶者控除があるから手取りが増える」「ふるさと納税で控除」と、税金の話で必ず出てくる 控除。
でも、
「そもそも控除って何?」「どんな種類がある?」「いくら税金が減る?」
を整理します。
所得控除とは、「税金を計算する前に、所得から引いてくれる金額」のこと。
控除が大きいほど、税金を計算する元(課税所得)が小さくなるので、税金が減る。
日本には 15種類以上の所得控除があり、知ってる人ほど手取りが増える仕組みです。
まず、税金の計算の仕組み
控除を理解するには、税金の計算の流れを知る必要があります:
- 収入(給与の額面、フリーランスの売上)
- 所得(収入 − 必要経費)
- 課税所得(所得 − 各種所得控除)
- 所得税(課税所得 × 税率)
- 納税額(所得税 − 税額控除)
このうち、所得控除は3番目で引かれる。税額控除は5番目で引かれる。両者は別物。
(医療費・扶養・生命保険料など)
(住宅ローン控除など)
同じ「控除」でも引かれる場所が違います。③の所得控除は税率をかける前の金額を減らすもの、⑤の税額控除は税金そのものを減らすもの。同じ金額なら、効きが大きいのは税額控除です
所得控除と税額控除は、引かれるタイミングが違う
「所得控除」と「税額控除」の違い
似てるけど効果が違います:
税金計算の元から引く
- 10万円控除 = 所得税は約0.5〜4.5万円、住民税は約1万円減る(所得税の税率5〜45%による)
- 所得が高い人ほど節税効果が大きい
- 例:基礎控除、医療費控除、生命保険料控除
税額そのものから引く
- 10万円控除 = 税額から10万円減る(ただし引ける上限は、もともとの税額まで)
- 税額が少ない人は、控除を使い切れないことがある
- 例:住宅ローン控除、配当控除
つまり、同じ金額なら税額控除のほうが効果が大きい。住宅ローン控除が大きく取り上げられるのはこのためです。
なおふるさと納税は、確定申告をした場合、所得税では「寄附金控除」という所得控除、住民税では税額控除として扱われます。ワンストップ特例を使った場合は、所得税の分も含めて住民税から引かれます。1つの制度でも、税金ごとに引かれ方が違うので注意してください。
主な所得控除
代表的なものを並べます。金額は2025年分(令和7年分)の所得税の場合です。税制改正で毎年のように変わるので、何年分の話かを必ず確認してください。
| 控除名 | 内容 | 控除額の目安(2025年分) |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 本人の合計所得が2,500万円以下の人 | 所得に応じて0〜95万円(合計所得132万円以下なら95万円、655万円超2,350万円以下なら58万円) |
| 配偶者控除 | 配偶者の合計所得が58万円以下(本人の合計所得1,000万円以下) | 最大38万円(70歳以上の配偶者は最大48万円) |
| 配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得が58万円超133万円以下 | 最大38万円から段階的に減る |
| 扶養控除 | 子・親などを扶養 | 1人あたり38〜63万円 |
| 社会保険料控除 | 年金・健康保険料 | 払った全額 |
| 生命保険料控除 | 生命保険・医療保険 | 最大12万円 |
| 地震保険料控除 | 地震保険 | 最大5万円 |
| 医療費控除 | 年10万円(総所得金額等が200万円未満なら所得の5%)を超えた医療費 | 超過分(最大200万円) |
| 小規模企業共済等掛金控除 | iDeCo、小規模企業共済 | 払った全額 |
| 障害者控除 | 本人・家族に障害がある | 27〜75万円 |
| 寡婦・ひとり親控除 | 配偶者と死別/離別 | 27〜35万円 |
| 勤労学生控除 | 働きながら学生 | 27万円 |
これら全部、申告すれば税金が減る可能性があります。
2026年分はさらに金額が変わる
2026年度の税制改正で、2026年分(令和8年分)の基礎控除が引き上げられます(合計所得132万円以下なら104万円)。配偶者控除の配偶者の所得要件も58万円から62万円になります。施行は2026年12月1日で、年末調整や翌年の確定申告で2026年分に適用されます。ただし施行前に亡くなった人や出国した人の申告などは扱いが違います。最新の表は国税庁「基礎控除」で確認してください。
「年収の壁」(かつての103万円の壁など)って何?
ニュースでよく聞く「○○万円の壁」は、税金の控除と社会保険の扶養が混ざって語られがちです。何の壁なのかを分けて見てください。以下は配偶者がパートなどの給与収入だけの場合の目安です。
| 呼び方 | 何の壁か | 2025年分 | 2026年分 |
|---|---|---|---|
| かつての「103万円の壁」 | 配偶者本人に所得税がかかり始める/夫(妻)が配偶者控除を受けられる上限 | 所得税は160万円超から、配偶者控除は123万円以下 | 所得税は178万円超から、配偶者控除は136万円以下 |
| 「106万円・130万円の壁」 | 税金ではなく社会保険。勤め先の規模や働き方によって、扶養から外れて自分で保険料を払うことになる | 106万円は勤務先の条件などで、130万円は扶養の基準で変わる | 同じ |
| かつての「150万円の壁」 | 夫(妻)の配偶者特別控除が満額(38万円)でなくなるライン | 150万円を超えると段階的に減り、約201万円を超えるとゼロ | 163万円を超えると段階的に減り、207万円を超えるとゼロ |
2026年分の数字は、2026年12月の年末調整からまとめて反映されます(11月までの毎月の天引きは変わりません)。
つまり壁を超えたら一気に控除が消えるわけではありません。配偶者特別控除は少しずつ減るしくみなので、税金だけで見ると、収入が増えて世帯の手取りが逆転することは基本的にありません。手取りが大きく変わりやすいのは、社会保険料の負担が始まる106万円・130万円のほうです。
壁の位置は毎年のように動いている
2025年分、2026年分と続けて控除額が引き上げられ、「壁」の位置も動いています。社会保険の扶養の基準も見直しが続いているので、働き方を決めるときは、何年分の話かと税金と社会保険のどちらの話かを必ず確認してください。
医療費控除のしくみ
意外と使われていない「医療費控除」:
- 自分・生計を一にする家族の医療費が 年10万円超(総所得金額等が200万円未満の人は所得の5%超)なら控除対象
- 病院、薬、通院交通費、出産費用、歯科治療まで含む
- 計算式:
医療費 − 保険などで補填された金額 − 10万円(または所得の5%)= 控除額
例:年間医療費30万円、保険からの給付なし → 控除額20万円 → 税率20%なら 税金が4万円減る。
確定申告で申告すれば戻ってきます。家族の領収書を1年分集める習慣をつけるとお得。
控除を最大化するには
シンプリの整理:
- 会社員の年末調整で全部出す:生命保険料、地震保険料、iDeCo
- 使える控除はすべて使う:医療費、ふるさと納税
- 家族間で誰の控除に入れるか戦略的に:扶養控除など
- 必要な書類は捨てない:生命保険料控除証明書、医療費領収書
まとめ
- 所得控除 = 税金を計算する前の所得から引く金額(税金計算の元を小さくする)
- 税額控除 = 税額そのものから引く(効果が直接的、住宅ローン控除など)
- 主な所得控除:基礎・配偶者・扶養・社会保険料・生命保険・医療費 など15種以上
- 「壁」は税金の壁と社会保険の壁が混ざっている。2026年分は配偶者控除が136万円まで、163万円を超えても配偶者特別控除は段階的に減るだけ
- 医療費が年10万円超なら確定申告で取り戻せる
- 知ってる人ほど手取りが増える、税の最重要キーワード
一次情報は国税庁です(2026年10月14日確認):令和8年分の基礎控除・配偶者控除などの改正のあらまし/基礎控除/配偶者特別控除/医療費控除/ふるさと納税。