「社会人になったから生命保険入った?」「家族ができたら入るべき」と勧められる生命保険。
でも、
「本当に必要?」「いくらの保険に入る?」「健康保険で足りないの?」
を、保険販売員のセールストークではなく、フラットな視点で整理します。
生命保険は、「自分が死亡 or 重い病気になった時、残された家族の生活を経済的に守るための保険」です。
主な種類は 定期保険・終身保険・収入保障保険・医療保険・がん保険の5つ。
本当に必要なのは 子育て中の家計を支える人。独身や子育て終了世代には不要 or 最小限で十分です。
生命保険の正体
生命保険は、「自分の死亡・重病で経済的に困る人を守るための仕組み」 です。
カバーするリスク:
- 世帯主の死亡:残された家族の生活費・教育費
- 長期入院:[健康保険](/article/kenkou-hoken)・[高額療養費制度](/article/kougaku-ryouyouhi)でカバーしきれない部分
- がん・三大疾病:先進医療・長期治療の費用
- 介護状態:[介護保険](/article/kaigo-hoken)でカバーしきれない部分
- 就労不能:働けなくなった時の収入補填
「もしも」が起きた時の経済的ダメージを軽くするのが目的です。
主な保険の種類
代表的な5タイプ:
| 種類 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 定期保険 | 死亡時のみ給付、掛け捨て、安い | 10年・20年など定期 |
| 終身保険 | 死亡時に必ず給付、貯蓄性あり、高い | 一生涯 |
| 収入保障保険 | 死亡後、毎月給与のように受け取り | 定期 |
| 医療保険 | 入院・手術時に給付 | 定期 or 終身 |
| がん保険 | がん診断時に給付 | 定期 or 終身 |
保険料の安さ:定期保険 < 収入保障 < 医療 < 終身保険 の順。
定期保険 vs 終身保険
迷う人が多い2つを比較:
掛け捨て・安い
- 30歳男性で月数百〜数千円
- 満期で保障終了(貯蓄性なし)
- 家族のいる現役世代向け
- 更新で保険料アップ
貯蓄性あり・高い
- 30歳男性で月1〜3万円
- 解約返戻金あり(貯蓄性)
- 葬儀費用カバー目的
- 保険料は一生変わらない
「貯蓄もできる」と勧められる終身保険ですが、運用利率はNISAやiDeCoに比べて圧倒的に低い。貯蓄目的なら別手段が合理的です。
本当に必要な人・不要な人
正直に書きます:
家計を支える人
- 子育て中の世帯主
- 専業主婦と子どもがいる夫
- 住宅ローン残債が大きい人
- 自営業(厚生年金の遺族年金が薄い)
家計依存者がいない
- 独身(葬儀費用程度の貯金があれば不要)
- 子育てが終わった共働き世帯
- 定年退職後で十分な資産がある人
- 専業主婦の死亡保険(収入なら不要)
「みんな入ってるから」「セールス担当がいいって言うから」では入らないのが鉄則です。
いくらの保険に入るか(必要保障額)
子育て世帯の目安:
必要保障額 = 残された家族の支出 − 残された家族の収入
具体的な計算(夫死亡時、妻と子1人):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 妻の生活費(30年) | 約5,400万円 |
| 子の教育費 | 約1,500万円 |
| 葬儀費用 | 約200万円 |
| 支出合計 | 約7,100万円 |
| 遺族年金(30年) | 約2,500万円 |
| 妻のパート収入(20年) | 約2,400万円 |
| 死亡退職金・貯蓄 | 約1,000万円 |
| 収入合計 | 約5,900万円 |
| 必要保障額(不足分) | 約1,200万円 |
「3,000万円・5,000万円の保険」は 過剰なケースが多いです。
公的保障の存在を忘れずに
健康保険・厚生年金には強力な保障があります:
| 保障 | 内容 |
|---|---|
| 高額療養費制度 | 医療費の自己負担に月額上限 |
| 傷病手当金 | 病気で休んだ時、給与の2/3を最長1年6ヶ月 |
| 遺族基礎年金 | 子のある配偶者に年78万円+子加算 |
| 遺族厚生年金 | 厚生年金加入者の遺族に給与の約3/4相当 |
| 障害年金 | 障害認定で生涯支給 |
「保険のセールスは公的保障を計算に入れない」 ことが多く、過剰な保険を勧められます。
保険選びの実用ステップ
正解パターン:
- 公的保障を計算(遺族年金、傷病手当金)
- 残りの不足額を算出(必要保障額)
- 定期保険 or 収入保障保険で安く備える
- 医療は[高額療養費制度](/article/kougaku-ryouyouhi)+預貯金で対応(不安なら最低限の医療保険)
- 子育て終了で順次解約
「掛け捨て=損」というセールストークは無視 していいです。
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「貯蓄もできる終身保険がお得」 | 運用利回りはNISA・iDeCoより低い |
| 「医療保険は必須」 | 高額療養費制度+預貯金100万円で大半カバー可能 |
| 「掛け捨ては損」 | 必要な期間だけ買う合理的な選択 |
| 「保険で資産形成」 | 保険は保障、投資は投資で分けるのが鉄則 |
| 「特約はあって損なし」 | 不要な特約は保険料を上げるだけ |
生命保険料控除(節税)
支払った保険料は所得税・住民税の控除対象:
| 控除種類 | 所得税最大控除額 | 住民税最大控除額 |
|---|---|---|
| 一般生命保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
| 介護医療保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
| 個人年金保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
| 合計 | 120,000円 | 70,000円 |
年末調整 or 確定申告で適用します。
まとめ
- 生命保険 = 自分が死亡・重病になった時に家族を経済的に守る仕組み
- 種類は 定期・終身・収入保障・医療・がん の5タイプ
- 本当に必要なのは 子育て中の家計を支える人、独身や子育て終了世代には不要
- 必要保障額は「家計支出 − 公的保障・貯蓄」で算出
- 高額療養費制度・遺族年金など 公的保障の存在を計算に入れる
- 「貯蓄性」を売りにする終身保険より、NISA・iDeCoで運用するのが合理的
健康保険・介護保険・雇用保険など公的保険を理解した上で「不足する部分だけ」を民間保険で補う、が基本姿勢です。
詳しくは 生命保険文化センター や 金融庁 保険会社一覧 が中立的な情報源です。