「障害年金」と聞くと「重度の身体障害の人だけがもらうもの」というイメージを持つ人が多いです。
でも、
「うつ病でもらえる?」「がんは?」「いくらもらえる?」「自分で申請するの?」
を、実態に即して整理します。意外と多くの人が対象になる、生活を支える重要な制度です。
障害年金とは、「病気やけがで日常生活・労働に著しい支障がある時に支給される国の年金」です。
身体障害だけでなく、うつ病・統合失調症・がん・難病・人工透析なども対象。
国民年金加入者は障害基礎年金(月約7万円)、厚生年金加入者はそれに障害厚生年金が上乗せされ 月15〜20万円 もらえる場合もあります。
障害年金の正体
障害年金は、「働ける・働けないにかかわらず、日常生活に支障がある人を支える年金」 です。
分かれ目は「初診日にどの年金に入っていたか」。会社員のときに初めて受診したかどうかで、受け取れる範囲が3級まで広がります。だから初診日の証明が申請の最大の山場になります
障害年金も2階建て。初診日の立場で対象範囲が変わる
ポイント:
- 初診日が「年金に入っていた期間」などにある人が対象(20歳前の病気・けがや、60〜65歳未満で国内に住んでいた期間も含む)
- 診断書ベースで等級判定(1級・2級・3級)
- 働きながらもらえることも多い(ただし20歳前の傷病による障害基礎年金には所得制限がある)
- 同時に健康保険も使える
- 有期認定が多い(1〜5年で再審査)
「歳をとってもらう年金」とは別物。現役世代のセーフティネット です。
対象になる病気・けが
意外と幅広い:
代表的な対象
- 視覚障害・聴覚障害
- 肢体不自由
- 呼吸器疾患・心疾患
- 人工透析(じん臓機能)
- がん(治療継続が必要な場合)
見えない障害も対象
- うつ病・統合失調症
- 双極性障害・発達障害
- 知的障害
- 難病(指定難病、線維筋痛症等)
- 糖尿病合併症
特に 精神疾患 は障害年金の受給者の半数近くを占めますが、診断書の書き方ひとつで結果が変わる難しい領域です。
障害基礎年金 vs 障害厚生年金
加入していた年金で受給額が大きく変わります:
| 区分 | 対象者 | 金額 |
|---|---|---|
| 障害基礎年金1級 | 初診日に国民年金加入など | 年1,059,125円+子の加算(2級の1.25倍) |
| 障害基礎年金2級 | 同上 | 年847,300円+子の加算 |
| 障害厚生年金1・2級 | 初診日に厚生年金加入 | **障害基礎年金(1級・2級)+**給与と加入期間に応じた障害厚生年金 |
| 障害厚生年金3級 | 初診日に厚生年金加入 | 障害厚生年金だけ(障害基礎年金は出ない)。最低保障は年635,500円 |
金額は2026年度、昭和31年4月2日以後生まれの人の場合です。毎年度見直されます。
会社員(厚生年金加入)と自営業(国民年金のみ)で受給額が大きく変わる のがポイント。会社員の方が手厚い保障になっています。ただし3級は厚生年金だけの等級で、障害基礎年金の上乗せはありません。
子の加算・配偶者加給
家族がいる場合の追加分:
| 加算 | 金額 |
|---|---|
| 子(18歳の年度末まで。障害のある子は20歳未満)※障害基礎年金に加算 | 1人目・2人目 各年243,800円、3人目以降 各年81,300円(2026年度) |
| 配偶者 ※障害厚生年金1・2級に加算 | 年24万円前後(年度で変わる) |
受給の3条件
すべて満たす必要があります:
- 初診日要件:その病気で初めて医師にかかった日(初診日)が、国民年金・厚生年金に入っている間であること。20歳前や、60〜65歳未満で日本に住んでいた期間(年金に入っていなくてもよい)も対象
- 保険料納付要件:初診日の前々月までに納付期間が2/3以上、または直近1年に未納なし
- 障害認定日要件:初診日から1年6ヶ月後(または症状固定日)に、政令で定める障害等級に該当すること
初診日が一番重要。「最初に受診した医療機関のカルテ」がないと請求できないことが多く、ここで詰まる人が大勢います。
申請の流れ
書類地獄です:
- 初診日を確定(受診状況等証明書)
- 診断書を医師に依頼(精神疾患なら専用書式)
- 病歴・就労状況等申立書を自分で記入(最大の関門)
- 年金事務所 or 市区町村で提出
- 審査(3〜4ヶ月)
- 支給開始 or 不支給通知
申請から決定まで 3〜4ヶ月、書類準備に 数ヶ月かかるので、トータル半年〜1年は見ておく必要があります。
申請の難しさ(正直に)
正直、この制度は 申請が異様に難しい:
同じ症状でも結果が違うことがある
診断書の内容や病歴・就労状況等申立書の書き方で、等級の判断が変わることがあります。日常生活で困っていることが医師に伝わっていないと、実際より軽く書かれることも。年金事務所の相談窓口を使うか、書類づくりが不安なら社労士(障害年金を扱う人)に相談するのも一つの方法です。
不支給だった場合は 審査請求 → 再審査請求 → 裁判 で争えます。審査請求には期限(決定を知った日の翌日から3か月以内)があるので、届いた通知はすぐ確認してください。
受給者数の実態
意外と多くの人が受給しています:
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 受給者総数(2023年度末) | 約226万人 |
| 精神疾患が原因 | 約50% |
| 障害基礎年金のみ | 約57% |
| 平均受給額 | 月約9万円 |
「珍しい制度」ではなく身近な制度。知らずに使っていない人も多いのが現状です。
障害者手帳との違い
混同されがちですが別物:
国の年金
- 現金支給
- 日本年金機構が判定
- 等級は1〜3級
- 有期認定で再審査
福祉サービス利用証
- 各種割引・サービス利用
- 市区町村が交付
- 等級は手帳の種類で異なる
- 更新時期は手帳の種類で違う
両方持っている人もいれば、どちらか片方だけの人もいます。
受給中の注意点
知らないと損する:
- 更新(有期認定):1〜5年ごとに診断書を再提出
- 障害状態確認届:認定日が近づくと年金機構から書類が届く
- 収入があっても多くは支給が続く。ただし更新の診断書では働き方も見られるので、等級が変わることはある。20歳前の傷病による障害基礎年金は、本人の所得が一定額を超えると半額または全額が止まる
- 税金は非課税(所得税・住民税かからない)
- 遡及請求:認定日から最大5年分まで遡って請求可能
まとめ
- 障害年金 = 病気・けがで日常生活や労働に支障がある人を支える国の年金
- うつ・統合失調症・がん・人工透析など 幅広い疾患が対象
- 障害基礎年金2級は年847,300円(2026年度)。厚生年金の人は1・2級なら障害厚生年金が上乗せ、3級は障害厚生年金だけ
- 受給には 初診日・納付要件・障害等級 の3条件が必須
- 申請が異様に難しい ので、社労士など専門家への相談が現実的
- 障害者手帳とは別物(両方持つこともある)
国民年金・健康保険・高額療養費制度と並んで、現役世代を守る重要な制度です。
受給の条件は 日本年金機構 障害基礎年金の受給要件、20歳前の傷病の所得制限は 日本年金機構 20歳前傷病による障害基礎年金、金額は 日本年金機構の資料(令和8年度) が一次情報です(2026年10月14日確認)。