「家庭内の暴力」は昔は「夫婦の問題」とされていました。
2001年に DV防止法 が成立し、法的に介入できる仕組みができました。本人・家族・周囲が知っておくべき内容として整理します。
「DVってどこから?」「保護命令って何?」「相談したらどうなる?」「離婚しないとダメ?」
を、被害者の選択肢として整理します。
DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)は、「配偶者・恋人からの暴力被害者を法的に保護するための法律」です。
身体的暴力だけでなく、精神的暴力・経済的暴力・性的暴力もDVに含まれます。
被害者は 保護命令の申立て・配偶者暴力相談支援センター・シェルター利用などの公的支援を受けられます。年間相談件数は 20万件超。
DV防止法の正体
DV防止法は、「配偶者・パートナーからの暴力を社会問題として国が介入できる法律」 です。
特徴:
- 2001年成立(その後数度改正)
- 身体的・精神的・経済的・性的暴力すべてが対象
- 裁判所による保護命令制度
- 配偶者暴力相談支援センターの設置
- 事実婚・元配偶者・恋人も対象
「家庭内のこと」「夫婦喧嘩」では片付けられない領域です。
DVに含まれるもの
身体的暴力だけではありません:
分かりやすい暴力
- 殴る・蹴る
- 物を投げる
- 髪を引っ張る
- 首を絞める
- 性的暴力
見えにくい暴力
- 精神的:暴言・侮辱・無視
- 経済的:生活費を渡さない・浪費
- 社会的:交友関係を制限
- 性的:望まない性行為強要
- 子供を巻き込む
「殴られていなければDVではない」は誤解。経済的・精神的DVも法的に保護対象です。
保護命令制度
裁判所が出す強制力のある命令:
| 命令 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 接近禁止命令 | 加害者の被害者への接近禁止 | 6ヶ月 |
| 退去命令 | 加害者を自宅から退去させる | 2ヶ月 |
| 子への接近禁止 | 子供への接近禁止 | 6ヶ月 |
| 親族等への接近禁止 | 被害者の親族への接近禁止 | 6ヶ月 |
| 電話等禁止 | 電話・メール・SNS連絡禁止 | 6ヶ月 |
違反すると1年以下の懲役 or 100万円以下の罰金。実効性のある制度です。
申立ての流れ
実際の手順:
- 配偶者暴力相談支援センターに相談
- 警察や女性相談所と連携
- 地方裁判所に保護命令を申立て(弁護士付推奨)
- 裁判所が審尋(事情聴取)
- 命令発令(通常1週間程度)
- 違反があれば警察対応
申立てから命令まで 1週間程度 と比較的迅速。緊急時は警察に直接通報も可能です。
相談窓口
公的な相談先:
| 窓口 | 役割 |
|---|---|
| DV相談ナビ(#8008) | 全国共通電話、最寄りの相談支援センターに転送 |
| 配偶者暴力相談支援センター | 各都道府県に設置 |
| 警察相談(#9110) | 緊急性が高い場合 |
| 110番 | 命の危険がある時 |
| 法テラス | 法的アドバイス・弁護士紹介 |
| 民間シェルター | 一時的な避難場所 |
| 全国の女性センター | 各種相談 |
**「秘密で相談できる」**のが原則。家族にバレずに相談だけする選択肢もあります。
シェルター(避難施設)
身の安全を確保する場所:
- 公的シェルター(婦人保護施設):行政が運営、無料
- 民間シェルター:NPO等が運営、寄付ベース
- 滞在期間:通常2週間〜数ヶ月
- 住所は非公開:加害者から見つからない
- 子供の同伴可能
シェルター利用中に 離婚調停・転居・就労支援 などを並行して進めるのが標準的な流れです。
DV防止法と離婚
被害者の選択肢:
「離婚しなければDV対策できない」は誤解
保護命令は 結婚を続けたままでも申立可能です。DV対策と離婚は別の手続き。まずは身の安全を確保し、その後に離婚を検討する流れが現実的です。子供がいる場合は親権・養育費の問題も絡みます。
加害者への対応
加害者にも変化を求める仕組み:
- 加害者プログラム:心理的アプローチ
- 保護観察:刑事処分の代替
- アンガーマネジメント:怒りの制御訓練
ただし日本は 加害者支援の体制が弱い という指摘があり、再犯防止策が課題です。
DV相談の実態
公的データ:
- 配偶者暴力相談支援センターの年間相談件数:約20万件
- 女性相談員に対する相談の約60%がDV関連
- 保護命令件数:年約1,000件超
- コロナ禍で相談件数増加:在宅時間増加が要因
「相談を躊躇する人」がさらに多いため、実数はもっと大きいと考えられます。
周囲ができること
被害者を支える行動:
| 立場 | できること |
|---|---|
| 友人・家族 | 話を聞く・否定しない・専門機関を紹介 |
| 職場 | 安全な相談ルートの整備 |
| 近隣 | 異変を感じたら110番 or #9110 |
| 学校 | 子供の様子に注意 |
| 医療機関 | 不自然な怪我を見たら警察通報の判断 |
「家庭の問題に介入はマナー違反」は古い価値観。命に関わる問題は社会で対応する のが現代です。
まとめ
- DV防止法 = 配偶者・パートナーからの暴力被害者を法的に保護する法律(2001年成立)
- 身体的暴力だけでなく 精神的・経済的・性的暴力 もDV
- 裁判所の 保護命令制度(接近禁止・退去命令等、違反は刑事罰)
- 相談窓口は DV相談ナビ(#8008)・配偶者暴力相談支援センター
- シェルター利用+離婚調停+転居支援が標準的な流れ
- 周囲ができることは 話を聞く・専門機関に繋ぐ
相続放棄・自己破産・消費者契約法・少額訴訟と並んで、生活と直結する法律知識です。
詳しくは 内閣府男女共同参画局 DV相談 や 配偶者暴力相談支援センター が一次情報源です。