DV防止法とは?保護命令と相談窓口の使い方

配偶者からの暴力に法的に立ち向かう手段、DV防止法。保護命令・相談窓口・シェルター・離婚との関係を整理します。

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Photo by Beto Santanna on Pexels
この記事の目次 11
  1. DV防止法の正体
  2. DVに含まれるもの
  3. 保護命令制度
  4. 申立ての流れ
  5. 相談窓口
  6. シェルター(避難施設)
  7. DV防止法と離婚
  8. 加害者への対応
  9. DV相談の実態
  10. 周囲ができること
  11. まとめ

「家庭内の暴力」は昔は「夫婦の問題」とされていました。

2001年に DV防止法 が成立し、法的に介入できる仕組みができました。本人・家族・周囲が知っておくべき内容として整理します。

「DVってどこから?」「保護命令って何?」「相談したらどうなる?」「離婚しないとダメ?」

を、被害者の選択肢として整理します。

DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)は、「配偶者・恋人からの暴力被害者を法的に保護するための法律」です。
身体的暴力だけでなく、精神的暴力・経済的暴力・性的暴力もDVに含まれます。
被害者は 保護命令の申立て・配偶者暴力相談支援センター・シェルター利用などの公的支援を受けられます。年間相談件数は 20万件超

DV防止法の正体

DV防止法は、「配偶者・パートナーからの暴力を社会問題として国が介入できる法律」 です。

特徴:

  1. 2001年成立(その後数度改正)
  2. 身体的・精神的・経済的・性的暴力すべてが対象
  3. 裁判所による保護命令制度
  4. 配偶者暴力相談支援センターの設置
  5. 事実婚・元配偶者・恋人も対象

「家庭内のこと」「夫婦喧嘩」では片付けられない領域です。

DVに含まれるもの

身体的暴力だけではありません:

身体的暴力

分かりやすい暴力

  • 殴る・蹴る
  • 物を投げる
  • 髪を引っ張る
  • 首を絞める
  • 性的暴力
非身体的暴力

見えにくい暴力

  • 精神的:暴言・侮辱・無視
  • 経済的:生活費を渡さない・浪費
  • 社会的:交友関係を制限
  • 性的:望まない性行為強要
  • 子供を巻き込む

「殴られていなければDVではない」は誤解。経済的・精神的DVも法的に保護対象です。

保護命令制度

裁判所が出す強制力のある命令:

命令 内容 期間
接近禁止命令 加害者の被害者への接近禁止 6ヶ月
退去命令 加害者を自宅から退去させる 2ヶ月
子への接近禁止 子供への接近禁止 6ヶ月
親族等への接近禁止 被害者の親族への接近禁止 6ヶ月
電話等禁止 電話・メール・SNS連絡禁止 6ヶ月

違反すると1年以下の懲役 or 100万円以下の罰金。実効性のある制度です。

申立ての流れ

実際の手順:

  1. 配偶者暴力相談支援センターに相談
  2. 警察や女性相談所と連携
  3. 地方裁判所に保護命令を申立て(弁護士付推奨)
  4. 裁判所が審尋(事情聴取)
  5. 命令発令(通常1週間程度)
  6. 違反があれば警察対応

申立てから命令まで 1週間程度 と比較的迅速。緊急時は警察に直接通報も可能です。

相談窓口

公的な相談先:

窓口 役割
DV相談ナビ(#8008) 全国共通電話、最寄りの相談支援センターに転送
配偶者暴力相談支援センター 各都道府県に設置
警察相談(#9110) 緊急性が高い場合
110番 命の危険がある時
法テラス 法的アドバイス・弁護士紹介
民間シェルター 一時的な避難場所
全国の女性センター 各種相談

**「秘密で相談できる」**のが原則。家族にバレずに相談だけする選択肢もあります。

シェルター(避難施設)

身の安全を確保する場所:

  • 公的シェルター(婦人保護施設):行政が運営、無料
  • 民間シェルター:NPO等が運営、寄付ベース
  • 滞在期間:通常2週間〜数ヶ月
  • 住所は非公開:加害者から見つからない
  • 子供の同伴可能

シェルター利用中に 離婚調停・転居・就労支援 などを並行して進めるのが標準的な流れです。

DV防止法と離婚

被害者の選択肢:

💡

「離婚しなければDV対策できない」は誤解

保護命令は 結婚を続けたままでも申立可能です。DV対策と離婚は別の手続き。まずは身の安全を確保し、その後に離婚を検討する流れが現実的です。子供がいる場合は親権・養育費の問題も絡みます。

加害者への対応

加害者にも変化を求める仕組み:

  • 加害者プログラム:心理的アプローチ
  • 保護観察:刑事処分の代替
  • アンガーマネジメント:怒りの制御訓練

ただし日本は 加害者支援の体制が弱い という指摘があり、再犯防止策が課題です。

DV相談の実態

公的データ:

  • 配偶者暴力相談支援センターの年間相談件数:約20万件
  • 女性相談員に対する相談の約60%がDV関連
  • 保護命令件数:年約1,000件超
  • コロナ禍で相談件数増加:在宅時間増加が要因

「相談を躊躇する人」がさらに多いため、実数はもっと大きいと考えられます。

周囲ができること

被害者を支える行動:

立場 できること
友人・家族 話を聞く・否定しない・専門機関を紹介
職場 安全な相談ルートの整備
近隣 異変を感じたら110番 or #9110
学校 子供の様子に注意
医療機関 不自然な怪我を見たら警察通報の判断

「家庭の問題に介入はマナー違反」は古い価値観。命に関わる問題は社会で対応する のが現代です。

まとめ

  • DV防止法 = 配偶者・パートナーからの暴力被害者を法的に保護する法律(2001年成立)
  • 身体的暴力だけでなく 精神的・経済的・性的暴力 もDV
  • 裁判所の 保護命令制度(接近禁止・退去命令等、違反は刑事罰)
  • 相談窓口は DV相談ナビ(#8008)・配偶者暴力相談支援センター
  • シェルター利用+離婚調停+転居支援が標準的な流れ
  • 周囲ができることは 話を聞く・専門機関に繋ぐ

相続放棄自己破産消費者契約法少額訴訟と並んで、生活と直結する法律知識です。

詳しくは 内閣府男女共同参画局 DV相談配偶者暴力相談支援センター が一次情報源です。

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