遺言書とは?種類と書き方

「うちは財産少ないし不要」が一番もめる。遺言書の種類・自筆と公正証書の違い・最低限の書き方をまとめます。

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この記事の目次 10
  1. 遺言書の正体
  2. 「うちは関係ない」が危ない理由
  3. 遺言書の3種類
  4. 自筆証書遺言の書き方
  5. 法務局保管制度(自筆証書の決定版)
  6. 公正証書遺言のメリット
  7. 遺留分(要注意)
  8. 遺言書でできること
  9. 遺言書の効力が切れる場合
  10. まとめ

「うちは財産少ないから遺言書なんていらない」 — 実はこの考えが 相続トラブルの最大原因 です。

財産が少ない家こそ揉める。これは家庭裁判所の統計でも明らかになっています。

「どんな種類がある?」「自分で書ける?」「公正証書って必要?」「相続税対策になる?」

を整理します。

遺言書は、「自分の死後、財産をどう分けるかを生前に決めておく書類」です。
主な種類は 自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つ。
法務局保管制度(2020年〜)で自筆証書も安全に保管できるようになりました。5,000万円以下の家庭ほど相続トラブルが多いのが現実です。

遺言書の正体

遺言書は、「死後の財産分配を生前に決める法的書類」 です。

役割:

  1. 誰に何を相続させるか指定
  2. 相続人以外(孫・友人等)に財産を渡す
  3. 遺産分割協議を不要にする
  4. 相続トラブルを予防
  5. 事業承継・寄付の意思表示

「縁起でもない」と避けがちですが、残された家族の 負担と争い を減らす最大のプレゼントです。

「うちは関係ない」が危ない理由

家庭裁判所の遺産分割事件の統計:

遺産額 件数の割合
1,000万円以下 約33%
1,000〜5,000万円 約43%
5,000万〜1億円 約11%
1億円超 約7%
算定不能 約6%
!

5,000万円以下の家庭が約76%

「うちは金持ちじゃないから揉めない」は誤り。むしろ金額が小さい方が「家を売って分けるしかない」「もう少しもらえると思った」で泥沼化します。

遺言書の3種類

種類 作成方法 費用 保管
自筆証書遺言 全文自筆で書く(財産目録はPC可) 無料 自宅・法務局
公正証書遺言 公証人が作成 3〜15万円 公証役場
秘密証書遺言 自筆 or PCで書き公証役場に提出 1〜2万円 自宅

実務では自筆証書遺言と公正証書遺言の2択 がほとんど。秘密証書はほぼ使われません。

自筆証書遺言の書き方

最低限のルール:

  1. 全文・日付・氏名を自筆で書く(財産目録のみPC・通帳コピー可)
  2. 押印する(実印推奨)
  3. 「○○に××を相続させる」と明確に書く
  4. 修正は厳格なルール(修正箇所に押印、変更内容を記載)

サンプル:

遺言書

私、山田太郎は、以下のとおり遺言する。

第1条 預金(みずほ銀行○○支店 普通預金 No.1234567)は、
    長女・山田花子に相続させる。

第2条 自宅(東京都○○区○○町1-2-3)は、長男・山田次郎に相続させる。

第3条 その他一切の財産は、妻・山田良子に相続させる。

令和X年X月X日
東京都○○区○○町1-2-3
山田 太郎(実印)

「相続させる」が法定用語。「あげる」「譲る」だと解釈で争う余地が残ります。

法務局保管制度(自筆証書の決定版)

2020年7月から自筆証書遺言を法務局で 3,900円 で保管できる制度開始:

  • 改ざん・紛失リスクなし
  • 検認手続不要(家裁の検認をスキップできる)
  • 死亡時に相続人に通知される(指定可能)
  • 自宅保管より安全

「公正証書は高い」と思う人の有力な選択肢になりました。

公正証書遺言のメリット

費用は高いが安心:

自筆証書

手軽・安価

  • 無料(法務局保管なら3,900円)
  • 自分で書ける
  • 形式ミスで無効リスクあり
  • 家裁の検認が必要(法務局保管除く)
公正証書

確実・無効ゼロ

  • 3〜15万円(財産額で変動)
  • 公証人が作成、形式ミスゼロ
  • 原本は公証役場で半永久保管
  • 家裁検認不要

財産が複雑(不動産・株・複数口座等)なら公正証書、シンプルなら自筆+法務局保管、というのが目安です。

遺留分(要注意)

遺言で「全て愛人にあげる」と書いても、遺留分 が他の相続人に保証されています:

相続人 遺留分
配偶者のみ 法定相続分の1/2
配偶者+子 法定相続分の1/2
子のみ 法定相続分の1/2
直系尊属のみ(親) 法定相続分の1/3
兄弟姉妹 なし

遺留分を侵害された相続人は 遺留分侵害額請求 ができます。極端な遺言は揉めるので注意です。

遺言書でできること

意外と幅広い:

  • 相続分の指定(誰に何をどれだけ)
  • 遺産分割方法の指定
  • 相続人の廃除(虐待した子等の相続権剥奪)
  • 遺贈(相続人以外への贈与)
  • 認知(婚外子の認知)
  • 未成年後見人の指定
  • 遺言執行者の指定
  • 祭祀承継者の指定(墓守を誰にするか)

「相続させる」だけでなく、家族関係や祭祀の指定もできます。

遺言書の効力が切れる場合

注意点:

状況 効力
認知症で判断能力なし時の作成 無効
15歳未満の作成 無効
形式違反(押印なし等) 無効
複数の遺言書がある場合 日付の新しい方が有効
遺言と異なる生前贈与 その分は撤回扱い

定期的な見直しが推奨されます。

まとめ

  • 遺言書 = 死後の財産分配を生前に決める法的書類
  • 主な種類は 自筆証書遺言・公正証書遺言
  • 「うちは関係ない」が一番危ない。5,000万円以下の相続が揉め事の76%
  • 2020年から 法務局保管制度 で自筆証書を3,900円で安全保管できる
  • 遺留分があるので「全部あげる」は揉めるリスクあり
  • 認知症前に書く、定期的に見直す、が鉄則

相続放棄相続税成年後見人と並んで、人生後半に必須の法律知識です。

詳しくは 法務省 自筆証書遺言保管制度 や日本公証人連合会のサイトが一次情報源です。

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