「残業代が出ない」「有給を取らせてもらえない」「急に解雇された」
こうした扱いの多くは 労働基準法違反 の可能性があります。
「会社の言うことは絶対?」「サービス残業は合法?」「有給はもらえる?」
を、働く人が知っておくべき最低限の権利として整理します。
労働基準法は、「労働条件の最低基準を定めて、働く人を守る法律」です。
労働時間・残業代・有給休暇・解雇のルールなどを規定し、会社の就業規則や個別契約より優先されます。
「会社が決めたルールだから」と我慢していることの中に、違法なものが紛れていることが少なくありません。知ることが自衛の第一歩です。
労働基準法の正体
労働基準法は、「これ以下の条件で働かせてはいけない」という最低ライン を定めた法律です。
特徴:
- 労働条件の最低基準を定める
- 会社の就業規則・個別契約より優先(下回る契約は無効)
- 正社員・パート・アルバイト問わず適用
- 違反すると罰則(懲役・罰金)
- 労働基準監督署が監督・指導
「契約書にサインしたから」「会社のルールだから」では、違法な条件は正当化できません。
労働時間のルール
法定労働時間が基本:
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 法定労働時間 | 1日8時間・週40時間まで |
| 休憩 | 6時間超で45分、8時間超で60分 |
| 休日 | 週1日 または 4週で4日 |
| 時間外労働 | 36協定がないと違法 |
これを超えて働かせるには 「36(サブロク)協定」 という労使協定が必要。それでも上限(原則月45時間・年360時間)があります。
残業代のルール
サービス残業は違法:
残業代の不払いは明確な違法
1分単位で残業代は発生します。「みなし残業」「固定残業代」でも、その時間を超えたら追加で支払う義務があります。「うちは残業代が出ない会社」は、ほぼ違法状態です。
割増賃金の率:
| 種類 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働(残業) | 25%以上 |
| 月60時間超の残業 | 50%以上 |
| 深夜労働(22時〜5時) | 25%以上 |
| 休日労働 | 35%以上 |
残業代の請求権(時効)は 3年。過去にさかのぼって請求できます。
有給休暇のルール
有給は法律上の権利:
誰でももらえる
- 入社6ヶ月経過
- 出勤率8割以上
- 初年度10日付与
- 最大20日まで増える
- パート・アルバイトも対象
理由は不要
- 取得理由を言う義務なし
- 会社は原則拒否できない
- 年5日は取得が義務化
- 2年で時効消滅
「有給を取る理由」を聞かれても答える義務はありません。2019年から年5日の取得が会社の義務になりました。
解雇のルール
会社は自由にクビにできない:
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 解雇予告 | 30日前の予告 または 30日分の解雇予告手当 |
| 解雇の正当事由 | 客観的・合理的理由が必要 |
| 解雇制限 | 産休・育休中・労災療養中は解雇不可 |
| 不当解雇 | 無効を主張できる(労働審判・訴訟) |
「明日から来なくていい」という即日解雇は、解雇予告手当なしなら違法です。
こんな扱いは違法の可能性
身近な違法パターン:
- サービス残業(残業代不払い)
- 有給を理由なく拒否
- タイムカードを定時で打刻させる
- 最低賃金を下回る給与
- 休憩を取らせない
- 退職を認めない(退職は2週間前申告で自由)
- 給与から勝手に天引き(制服代・備品破損等)
- パワハラの放置
これらは「会社が当たり前のようにやっている」ことでも、違法の可能性が高いです。
困った時の相談先
泣き寝入りしないために:
- 労働基準監督署:違法行為の申告(無料・匿名可)
- 総合労働相談コーナー:全国の労働局に設置
- 労働組合(ユニオン):1人でも入れる地域ユニオン
- 法テラス:無料法律相談
- 弁護士:未払い残業代請求・不当解雇
証拠を残すことが重要:タイムカードのコピー、業務メール、給与明細、就業規則を保管しておきましょう。
知っておきたい補足
- 退職は労働者の自由:正社員は2週間前の申告で退職できる(民法627条)。会社の「認めない」は無効
- 退職代行:自分で言いにくい場合の選択肢(数万円)
- 管理職でも残業代:「名ばかり管理職」には残業代が発生する
- 試用期間中も労基法適用:「試用期間だから無給」は違法
まとめ
- 労働基準法 = 労働条件の最低基準を定めて働く人を守る法律
- 会社の就業規則・個別契約より 優先(下回る契約は無効)
- 労働時間は 1日8時間・週40時間、残業には36協定と割増賃金
- サービス残業・理由なき有給拒否・即日解雇 は違法の可能性
- 残業代請求の時効は 3年、有給は 入社6ヶ月で10日付与
- 困ったら 労働基準監督署・ユニオン・法テラス、証拠の保管が鍵
特定商取引法・消費者契約法・DV防止法・社労士と並んで、生活と直結する法律知識です。
詳しくは 厚生労働省 労働基準 や各地の労働基準監督署が一次情報源です。