検察審査会とは?強制起訴の仕組みと選ばれる確率

「検察審査員に選ばれました」の通知が来たら?検察審査会の仕事、選ばれる確率、断れる人、日当、裁判員との違い、ニュースの「強制起訴」までまとめます。

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この記事の目次 8
  1. 何のためにあるの?
  2. 3種類の議決と「強制起訴」
  3. 選ばれる確率と選ばれ方
  4. 選ばれたら何をする?
  5. 断れる人・なれない人
  6. 裁判員制度との違い
  7. よくある誤解
  8. まとめ

ある日、裁判所から「検察審査員候補者名簿に載りました」という通知が届く。裁判員は聞いたことがあっても、検察審査会はピンとこない人が多いはずです。

ニュースの「強制起訴」も、この検察審査会が関わっています。仕組みは意外とシンプルです。

検察審査会とは、検察官が「起訴しない(不起訴)」と決めた事件について、それでよかったのかを市民11人がチェックする仕組み。全国に165か所あります。
検察審査員は 18歳以上の有権者からくじで選ばれ、任期は6か月。選ばれる確率は 年に約1万4000人に1人です。
11人中8人以上が「起訴すべき」と2回議決すると、検察官の代わりに弁護士が起訴する。これがニュースでいう「強制起訴」です。

何のためにあるの?

刑事事件で、裁判にかける(起訴する)かどうかを決められるのは検察官だけです。逆に言えば、検察官が「起訴しない」と決めたら、ふつうはそこで終わり。

でも、被害者からすれば「なんで不起訴なの?」と納得できないこともあります。そこで、検察官の判断に市民の感覚を入れるための仕組みとして、1948年に作られたのが検察審査会です(検察審査会法1条)。

仕事は大きく2つ。

  1. 不起訴のチェック:検察官が不起訴にした事件について、その判断がよかったかを審査する
  2. 検察の仕事への提言:検察の事務を良くするための意見を出す(ここ数年は出されていない)

審査は、被害者や告訴した人が申し立てて始まるのが基本です。申立ては無料。申し立てがなくても、新聞記事などをきっかけに審査会が自分から審査することもあります。

3種類の議決と「強制起訴」

11人で話し合って、次のどれかを議決します。

議決 意味 必要な賛成
起訴相当 起訴すべきだ 11人中8人以上
不起訴不当 もっと詳しく調べて判断し直すべきだ 過半数(6人以上)
不起訴相当 不起訴でよい 過半数(6人以上)

「起訴相当」や「不起訴不当」が出ると、検察官はもう一度考え直します。ここで起訴することもあれば、やっぱり不起訴のままのこともあります。

出発点 検察官が不起訴にする → 被害者などが審査を申し立てる
1回目の審査 11人中8人以上で「起訴相当」と議決
検察が再検討 それでも不起訴(または原則3か月以内に結論を出さない)
2回目の審査 弁護士の助言を受けて審査し、8人以上で「起訴議決」
強制起訴 裁判所が指定した弁護士が、検察官の代わりに起訴して裁判を進める

「強制起訴」は2回続けて8人以上が「起訴すべき」と判断したときだけ。2009年に始まった制度で、2025年末までに16人だけです

起訴議決(いわゆる強制起訴)までの流れ

強制起訴はかなりまれです。1948年からの累計で約19万人を審査して、「起訴相当」の議決は全体の1.3%。2回目の審査まで進んで起訴議決になったのは、2009年の制度開始から16人しかいません。

選ばれる確率と選ばれ方

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選ばれる確率は約1万4000人に1人

裁判所によると、検察審査員か補充員に選ばれる確率は全国の有権者の約0.007%(約1万4000人に1人)。全国で年に約7,300人です。裁判員(約1万6000人に1人)と同じくらいの確率です。ただし、その前の「候補者名簿に載りました」という通知は、これよりずっと多くの人に届きます。

選ばれ方は次のとおりです。

  1. 前の年の秋:市区町村の選挙管理委員会が、選挙人名簿からくじで候補者を選ぶ(1つの審査会につき400人)
  2. 11月:候補者に「名簿に載りました」という通知と質問票が届く
  3. さらにくじ:候補者の中から、検察審査員と補充員をくじで選ぶ
  4. 最初の会議の約1か月前:選ばれた人に通知と呼び出し状が届く

18・19歳も、2023年2月からの任期で選ばれるようになりました。

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はがきや電話で知らせることはない

裁判所は、名簿に載ったことをはがき・メール便・電話・メールで知らせることはないとしています。「検察審査会です」と名乗って個人情報やお金を求める連絡は、詐欺を疑ってください。

選ばれたら何をする?

  • 任期は6か月。会議は月に1、2回くらい
  • 11人の審査員と、同じ数の補充員がいる。補充員も会議に出る
  • 3か月ごとに、およそ半分のメンバーが入れ替わる
  • 法律の知識はいらない。必要なら、審査補助員の弁護士に助言を求められる
  • 日当は 1日8,750円以内。交通費も出る
  • 会議は非公開。話し合いの中身や誰がどう言ったかを漏らすと、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

呼び出しに応じないと10万円以下の過料、という決まりもあります。仕事を休んだことを理由に、会社が解雇などの不利益な扱いをするのは法律で禁止されています。

断れる人・なれない人

辞退できる人の主な例はこうです(検察審査会法8条)。

辞退できる人 補足
70歳以上の人 任期中に70歳になる人も
学生・生徒
公務員・教員
国会・地方議会の議員 会期中だけ
過去5年以内に検察審査員か裁判員をした人
重い病気・介護・仕事など、やむを得ない事情がある人 審査会が認めた場合。申し出れば必ず通るわけではない

逆に、そもそもなれない人もいます。裁判官・検察官・弁護士・警察職員・自衛官・司法書士などは、仕事の性質上なれません。

裁判員制度との違い

どちらも「司法に市民の感覚を入れる」制度ですが、やることはまったく違います。

検察審査会

起訴しなかった判断をチェック

  • 対象:不起訴になった事件
  • メンバー:市民11人だけ(裁判官はいない)
  • 期間:任期6か月、月1〜2回
  • 日当:8,750円以内
裁判員

裁判で有罪・無罪と刑を決める

  • 対象:殺人など重大事件の刑事裁判
  • メンバー:裁判員6人+裁判官3人
  • 期間:担当する1つの事件の裁判の間だけ
  • 日当:1万900円以内

ざっくり言うと、**検察審査会は「裁判にかけるかどうか」の手前、裁判員は「裁判そのもの」**です。

よくある誤解

  • 「検察審査会が有罪を決める」→ ✕。決めるのは「起訴すべきかどうか」まで。強制起訴されても、有罪かどうかは普通の裁判で決まります。実際、強制起訴された事件でも無罪になった例があります
  • 「名簿に載った=選ばれた」→ ✕。名簿は候補者の一覧。そこからさらにくじで選ばれます
  • 「検察審査員は法律の勉強が必要」→ ✕。知識はいりません。必要なら弁護士が助言してくれます
  • 「強制起訴はよくある」→ ✕。2009年から2025年末までで16人だけです

まとめ

  • 検察審査会=検察官の不起訴が正しかったかを、市民11人がチェックする仕組み。全国に165か所
  • 18歳以上の有権者からくじで選ばれ、確率は年に約1万4000人に1人。任期6か月、日当は8,750円以内
  • 8人以上の「起訴相当」が2回続くと、弁護士が代わりに起訴する(強制起訴)。2025年末までで16人
  • 裁判員は裁判そのもの、検察審査会は裁判にかけるかどうかの手前

起訴・不起訴が決まるまでの流れは書類送検とは、裁判に市民が加わる仕組みは裁判員制度、検察官の仕事は弁護士・検察官・裁判官の違いもあわせてどうぞ。

制度の詳しい中身は 裁判所「検察審査会」 と 検察審査会制度Q&A、条文は 検察審査会法(e-Gov法令検索)、件数は 裁判所「検察審査会の受理件数、議決件数等」 で確かめられます(2026年10月23日確認)。

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