保釈とは?条件と保釈金のしくみ

「保釈金〇〇万円で保釈」。誰がいつ保釈されるの?保釈金は戻ってくる?起訴前は保釈できない理由、認められる条件、逃げたらどうなるか、保釈される割合まで整理します。

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この記事の目次 7
  1. 保釈できるのは起訴されたあとだけ
  2. 保釈が認められる3つのパターン
  3. 保釈金はいくら?戻ってくる?
  4. 保釈中のルール
  5. 保釈される人はどれくらい?
  6. よくある誤解
  7. まとめ

「〇〇被告、保釈金〇〇万円を納付して保釈」。芸能人や政治家の事件でよく聞くニュースです。

保釈は「無罪になった」でも「釈放されて終わり」でもありません。お金を預けて、裁判が終わるまで外で生活することを許してもらう 仕組みです。

保釈とは、起訴されて勾留されている被告人が、保釈金を預けることを条件に、裁判の間だけ外に出られる制度。
保釈できるのは起訴されたあとだけ。逮捕されたばかりの段階(起訴前)では使えません。
保釈金は、条件を守って裁判に出ていれば戻ってくるお金です。逃げたり条件を破ったりすると、没収されることがあります。

保釈できるのは起訴されたあとだけ

逮捕・勾留 起訴前の「被疑者」。保釈の制度は使えない
起訴 「被告人」になる。勾留が続くことも多い
保釈の請求 裁判所が認め、保釈金を納めると外に出られる
判決 条件を守っていれば保釈金は戻る

保釈は起訴されてから判決までの間の制度。起訴前の身柄拘束は、保釈ではなく勾留の取り消しなどで争います

逮捕から判決までの流れと、保釈が使えるタイミング

刑事訴訟法は、起訴前の勾留について「保釈については、この限りでない」と書いていて、起訴前には保釈を認めていません(207条1項)。起訴前の身柄の拘束を解いてほしいときは、勾留の取り消しを求めたり(87条)、勾留の決定に不服を申し立てたり(準抗告)します。逮捕と勾留の流れは逮捕と勾留の違いで詳しく書いています。

保釈を請求できるのは、被告人本人、弁護人、配偶者、親や子、兄弟姉妹などです(88条)。

保釈が認められる3つのパターン

  1. 権利保釈(89条):請求があれば、原則として認めなければならない保釈。ただし下の「除外される場合」に当たると対象外
  2. 裁量保釈(90条):権利保釈に当たらなくても、裁判所が事情を見て認める保釈。逃げるおそれや証拠を隠すおそれの程度、健康や仕事・家族への影響などを考えて判断する
  3. 義務的保釈(91条):勾留が不当に長くなったときに認めるもの

権利保釈が認められない主な場合(89条)はこうです。

除外される場合 例
重い罪 死刑・無期、または短期1年以上の拘禁刑に当たる罪
重い前科 過去に長期10年を超える罪で有罪になったことがある
常習 同じ種類の罪をくり返している
証拠を隠すおそれ 共犯者と口裏を合わせるなど
被害者や証人に危害を加えるおそれ 証言しないよう脅すなど
名前や住所がわからない

保釈金はいくら?戻ってくる?

保釈金(保釈保証金)の額は、裁判所が 犯罪の性質や事情、証拠の強さ、被告人の性格や資産 を考えて決めます(93条)。決まった相場の表は公表されていません。同じ罪でも、お金持ちほど高くなるのは「資産」を考えるからです。

戻ってくる場合

条件を守った

  • 裁判の日にきちんと出た
  • 決められた住所から離れなかった
  • 判決が出て裁判が終わった
  • 有罪でも無罪でも、条件を守っていれば戻る
没収されることがある場合

条件を破った

  • 逃げた・行方をくらました
  • 呼ばれても裁判に来ない
  • 証拠を隠した、証人を脅した
  • 実刑判決のあとに逃げると必ず没収

保釈金は罰金ではありません。「逃げずに裁判に来る」ことの担保として預けるお金です。だから、有罪になっても条件を守っていれば返ってきます(96条)。

保釈中のルール

保釈には、住む場所の指定(制限住居)、旅行の制限、事件の関係者との接触禁止などの条件がつきます。

2023年の法改正で、保釈中に逃げる人への対策が強くなりました。

  • 裁判の日に正当な理由なく出てこないと、それだけで罪になる(公判期日不出頭罪・2年以下の拘禁刑。2023年11月から)
  • 決められた住所から許可なく離れることも罪になった
  • 家族などを 監督者 に選んで、被告人を見守らせる制度もできた(2024年5月から)

さらに、海外への逃亡を防ぐため GPSの端末をつけさせる制度 も法律で決まっていますが、2026年10月時点ではまだ始まっていません(2028年5月までに始まる予定)。

保釈される人はどれくらい?

2024年に地方裁判所で勾留された被告人のうち、保釈された人は 32.3%(令和7年版犯罪白書)。おおよそ3人に1人です。簡易裁判所では19.5%でした。

保釈中も被告人であることに変わりはなく、判決で実刑になれば刑務所に入ります(執行猶予がつけば入りません)。

よくある誤解

  • 「保釈された=無罪」→ ✕。裁判の間、外で待てるようになっただけ。有罪・無罪はこれから決まります
  • 「逮捕されたらすぐ保釈金で出られる」→ ✕。保釈は起訴されたあとだけ。起訴前には使えません
  • 「保釈金は払ったら戻らない」→ ✕。預けるお金なので、条件を守れば裁判のあとに戻ります
  • 「お金さえあれば必ず保釈される」→ ✕。重い罪や証拠を隠すおそれがあると、認められないことがあります

まとめ

  • 保釈=起訴後の被告人が、保釈金を預けて裁判の間だけ外に出られる制度
  • 起訴前(逮捕・勾留の段階)には使えない
  • 保釈金の額は、罪の重さや被告人の資産などで裁判所が決める
  • 条件を守れば保釈金は戻る。逃げたり破ったりすると没収されることがある
  • 2024年の保釈率は地方裁判所で32.3%

刑事事件の流れは逮捕と勾留の違い・書類送検とは、弁護人のことは国選弁護人と私選弁護人の違いもあわせてどうぞ。

保釈の決まりは 刑事訴訟法(e-Gov法令検索) の88条〜98条・207条・278条の2、保釈率は 法務省「令和7年版犯罪白書」 で確かめられます(2026年10月23日確認)。

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