控訴と上告の違いとは?三審制のしくみと期限

判決に納得できないときの「控訴」と「上告」。何がちがう?期限は?最高裁で判決がひっくり返るのはどれくらい?三審制のしくみを、民事・刑事の両方から整理します。

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この記事の目次 8
  1. 三審制のしくみ
  2. 控訴と上告、何が違う?
  3. 判決がひっくり返る割合
  4. 期限を過ぎると「確定」する
  5. 知っておくと面白いルール
  6. 費用(民事)
  7. よくある誤解
  8. まとめ

「被告人側は判決を不服として控訴しました」「最高裁は上告を棄却しました」。ニュースでよく聞くこの2つ、どちらも判決に納得できないときの手続きです。

違いは 何回目の裁判に対する不服か。そして上告は、控訴よりずっと狭い門です。

日本の裁判は、原則として 3回まで 受けられます(三審制)。
控訴=1回目の判決(第一審)に不服を申し立てて、上の裁判所でやり直してもらうこと。
上告=2回目の判決(控訴審)に不服を申し立てること。ただし理由は憲法違反など限られたものだけで、事実をもう一度調べ直す場ではありません。
期限はどちらも 2週間(刑事は14日) です。

三審制のしくみ

第一審
地方裁判所など
→ 控訴
控訴審
高等裁判所など
→ 上告
上告審
最高裁判所など

1回目への不服が控訴、2回目への不服が上告。期限内に申し立てないと、その時点で判決は確定します

三審制の基本の流れ(地方裁判所から始まる事件の場合)

裁判所は全国にこれだけあります(裁判所の公式ページより)。

裁判所 数 主な役割
最高裁判所 1か所(東京) 上告審。長官と判事14人
高等裁判所 8か所(支部6か所) 控訴審が中心
地方裁判所 50か所(支部203か所) 第一審が中心
家庭裁判所 50か所 離婚・相続・少年事件など
簡易裁判所 438か所 140万円以下の民事、軽い刑事事件など

どこから始まるかで、控訴先と上告先が変わります。

  • 地方裁判所の判決 → 控訴は高等裁判所、上告は最高裁判所
  • 簡易裁判所の民事の判決 → 控訴は地方裁判所、上告は高等裁判所
  • 簡易裁判所の刑事の判決 → 控訴は高等裁判所、上告は最高裁判所

控訴と上告、何が違う?

控訴

もう一度しっかり審理

  • 第一審の判決に対して
  • 理由はとくに限られない
  • 事実(何があったか)も争える
  • 期限:民事2週間・刑事14日
上告

法律の使い方をチェック

  • 控訴審の判決に対して
  • 憲法違反・判例違反などに限られる
  • 原則、事実は調べ直さない
  • 期限:民事2週間・刑事14日

上告の理由は法律で決まっています。

  • 民事:憲法違反と、裁判のやり方に重大な問題がある場合(民事訴訟法312条)。これ以外でも、判例違反や法律の解釈で大事な問題を含むなら、最高裁に「上告受理申立て」ができます(318条)
  • 刑事:憲法違反と判例違反(刑事訴訟法405条)。ほかに、判決にひどい誤りがあれば最高裁が自分の判断で取り消すこともある(411条)

最高裁は、控訴審が認めた事実を前提に「法律の使い方が正しかったか」を見るのが基本です。だから 「やっぱりあの証言はうそだった」は、上告の理由にはなりにくい わけです。

判決がひっくり返る割合

最高裁の報告書(2024年のデータ)を見ると、上に行くほどひっくり返りにくくなります。

民事 刑事
第一審の判決に控訴した割合 16.7% 11.0%(否認事件は39.2%)
控訴審で第一審の判決が変わった割合 20.6%(一部を含む) 約8.5%
最高裁で控訴審の判決が取り消された割合 約0.3% 0%

最高裁まで争っても、判決が取り消されるのはほんのわずかです。実質的な勝負は第一審と控訴審、というのが数字からわかります。

期限を過ぎると「確定」する

控訴も上告も、期限は 2週間(刑事は14日) です。

  • 民事:判決書を受け取った日から2週間(民事訴訟法285条)
  • 刑事:判決を言い渡された日から14日(刑事訴訟法373条)

この期限内に誰も申し立てなければ、判決は 確定 します。確定すると、もうその判決はふつうの方法では争えません。刑事なら刑が執行され、前科になります。

知っておくと面白いルール

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被告人だけが控訴したら、刑は重くならない

刑事裁判で、被告人だけが控訴した場合は、第一審より重い刑にはできません(不利益変更の禁止・刑事訴訟法402条)。「控訴したらかえって重くなった」を防ぐためのルールです。ただし検察官も控訴できるので、検察官が「刑が軽すぎる」と控訴していれば、重くなることもあります。

  1. 少額訴訟は控訴できない:60万円以下の少額訴訟は、控訴ではなく同じ簡易裁判所に「異議」を出す
  2. 「抗告」は別もの:判決ではなく、裁判所の「決定・命令」に対する不服申立てが抗告。期限も短い(即時抗告は民事1週間・刑事3日)
  3. 控訴を飛ばすこともできる:民事は当事者が合意すれば、控訴をせずにいきなり上告できる(飛越上告)

費用(民事)

民事で控訴・上告するときも、裁判所に手数料を払います。法律上は、控訴が訴えのときの1.5倍、上告が2倍が基本です。100万円を請求する裁判の例はこうなります(2026年5月以降に始まった事件)。

書面で出す オンラインで出す
訴え(第一審) 12,500円 11,400円
控訴 16,900円 15,800円
上告 22,700円 21,100円

よくある誤解

  • 「最高裁で全部やり直してもらえる」→ ✕。上告は理由が限られていて、事実は原則調べ直しません
  • 「控訴すれば判決が変わることが多い」→ ✕。民事で約2割、刑事で1割弱。多くはそのまま維持されます
  • 「控訴したら刑が重くなるかもしれない」→ △。被告人だけが控訴したなら重くはできません。検察官も控訴していれば重くなることがあります
  • 「上告棄却=負け確定」→ ○。上告が退けられると、控訴審の判決がそのまま確定します

まとめ

  • 三審制=原則3回まで裁判を受けられるしくみ
  • 控訴=第一審の判決への不服。事実も争える
  • 上告=控訴審の判決への不服。憲法違反など理由が限られ、事実は調べ直さない
  • 期限はどちらも2週間(刑事は14日)。過ぎると判決が確定
  • 最高裁で判決が取り消されるのは、民事で約0.3%、刑事で0%(2024年)

裁判の種類は民事裁判と刑事裁判の違い、裁判に関わる人は弁護士・検察官・裁判官の違い、国の仕組みとしての裁判所は三権分立もあわせてどうぞ。

上訴の決まりは 民事訴訟法(e-Gov法令検索) の285条・312条・318条と 刑事訴訟法 の373条・402条・405条、裁判所の数は 裁判所「下級裁判所」、手数料は 手数料額早見表、割合は 最高裁「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」 で確かめられます(2026年10月23日確認)。

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